「軍用地」という言葉を聞いたことがありますか。「軍用地投資」は沖縄にある米軍基地や自衛隊施設の賃料収入が主な収益源となり、国が借主なので安心・安定的でありながら、いざという時に売却して換金しやすく相続対策にも有効です。
ここ数年、沖縄「軍用地」が不動産投資として注目されています。国内の米軍基地の約7割が沖縄に集中していますが、その土地を巡る取引に県内はもちろん、県外の投資家からの相談や投資が増加しています。
「軍用地」という沖縄の不動産市場において、その「軍用地」を担保とした「軍用地主ローン」という商品や「沖縄県軍用地等地主会連合会」(略して「土地連」)との提携ローンである「土地連共済融資」などがあります。
2008年のリーマンショックによって株価が暴落するや長期に渡る日本銀行のゼロ金利政策の実施による預金金利の低下の影響、経済危機でもほとんど影響を受けずに地代が上がり続ける「軍用地」に注目が集まりました。
株や収益不動産を持つよりも安全性が高く確実に資産を増やせる投資として資産価値は上昇。沖縄県内だけでなく、県外の富裕層からも注目を集めるようになっていったのです。
そもそも「軍用地」とは何か?
「軍用地」とは、沖縄県外の方には聞き覚えのない「言葉」ですが、簡単に言うと沖縄の米軍基地や自衛隊基地内の土地のことを言います。
沖縄では戦後、米軍支配下のもと、土地の強制接収が行われ「軍用地」として利用されてきた経緯があります。 1972(昭和47)年の日本復帰以降、在沖米軍の基地に使用されている土地=軍用地は、日米安全保障条約に基づいて、日本政府が地主と賃貸借契約を結んで借り上げ、地代として軍用地料を支払って米軍に提供しています。 復帰後は新たに、自衛隊基地が新設され、那覇空港用地も含めて、広義の意味で「軍用地」という取扱いで売買されています。
軍用地の分布図の通りです。参考までに沖縄県の米軍施設は33(うち専用施設31)、自衛隊は56施設ございます。(令和4年3月末現在)
(沖縄県HP「米軍基地の現状と日米地位協定」より)
なぜ沖縄だけこんなに人気なのかというと、米軍基地の約7割が沖縄県に集中しているため、大きいものから小さいものまで物件が豊富にあることが人気の要因の一つです。
軍用地は、民間が所有している土地が多いため、国がその所有者から土地を借りて軍用地として使用しています。
国と土地所有者との間で賃貸借関係が生まれ、毎年、国(防衛省)から所有者へ借地料【軍用地料】が支払われます。
このように、軍用地は国(防衛省)が借主なので安心・安定的な投資なのです。
日本全国には、130カ所の米軍施設があります。その「軍用地」のなんと70%が沖縄県に集中。飛行場、演習場、後方支援施設などの在日米軍専用施設の総面積は、およそ186平方キロメートル。
これは東京ドームなら、およそ4000個分に相当する広さです。
日本の国土面積のわずか0.6%に過ぎない沖縄県に、これだけ日・米軍の軍専用施設が集まっていることは、驚くべき事実です。
しかも、本土の米軍基地の大半が戦前の旧日本軍の基地をそのまま使用していますが、沖縄の米軍基地は「強制摂取」された「民有地」がほとんど。
沖縄の「軍用地」は土地の所有者に対して地料を払う、極めて稀なケースです。
「軍用地料」の規模
中国海兵局による尖閣諸島周辺への領海侵入や、台湾海峡危機の高まり、北朝鮮によるミサイル発射実験などを受け、我が国の防衛政策から、沖縄の米軍基地は減少しているにも関わらず、自衛隊基地を含めた沖縄軍用地料の規模は、年々増加しています。
沖縄の米軍基地と自衛隊基地の地主数と借地料は下記の通りです。
2024年度借地料予算は1,061億円と前年比1・1%増加しています。
「軍用地料」の決め方
では「軍用地」の地料は、どうやって決まるのでしょうか。
借地の単価は、毎年国と土地連(沖縄県軍用地等地主会連合会)との間で話し合われ、毎年12月、閣議決定によって軍用地料が決まります。
土地連は現在、米軍・自衛隊施設の存在する市町村22の軍用地地主会により構成され、地主会会長に賃貸借契約の締結および、請求・受領に関する権限を委任しています。
交渉にあたり、軍用地料の財務省への予算要求と共に大切なのが、「評価地目」の適正な見直しです。
「評価地目」とは、登記簿上「山林」「原野」としている地目を周囲の土地の開発状況に応じて、単価の高い「宅地見込み地」として査定することです。
「宅地見込み地」とは、農地地域、林地地域などから宅地地域に転換しつつある地域にあり、宅地への転用が法律的にも実用的にも可能な土地のことを指します。
土地連としては、軍用地格差を解消して元々安かった土地を近隣の土地と同等に扱うことが目的です。
ちなみに普天間基地の移設先となっている辺野古地区では、移設容認の条件として「軍用地料の評価見直し」を強く訴えています。
なぜ「軍用地投資」が注目を集めているのか?
軍用地の人気の理由は、ひとことで言えば、その「安定性」にあるといえます。例えば、不動産投資の花形とも呼べるマンション経営と比べてみると、非常に分かりやすいでしょう。確かに、マンションの家賃収入は大きな魅力ですが、空室リスクをはじめ、管理費、修繕費、広告費といったコスト面での不安から解放されることはありません。
対して軍用地の場合、国が借地しているため、こうした手間や負担が一切なく、返還されない限りは、毎年決まった収入を得ることができます。また、借地料そのものも年々着実に値上がりしており、利回りといった観点からも、非常に良質の投資物件であるといえるのです。
また、金融緩和政策が続く中、県内金融機関の預貯金金利が低迷し、沖縄ではこの軍用地を購入して日本政府から借地料を得る「軍用地投資」が身近な存在です。地元紙である「沖縄タイムス」や「琉球新報」といった新聞には、さかんに軍用地の広告が掲載されています。
毎週火、水、金の朝刊に不動産広告が掲載されます。軍用地の売買情報は、新聞の行広告に、軍用地に強い不動産会社が情報を掲載しています。
あえで、インターネットで情報を流さず、むしろ新聞広告を打つという不動産業者もあり、その方が地元の優良顧客の反響が多いため、活発に掲載されています。最近は売物件を求む軍用地専門業者も多く、「軍用地買取ります!」という広告も多く目にします。
それだけ、沖縄では軍用地売買が活発に行われているという証でもあります。
「軍用地料」の推移
沖縄では戦後、米軍支配下のもと、土地の強制接収が行われ「軍用地」として利用されてきた経緯があります。
1972年の日本復帰以降、在沖米軍の基地に使用されている土地=軍用地は、日米安全保障条約に基づいて、日本政府が地主と賃貸借契約を結んで借り上げ、地代として軍用地料を支払って米軍に提供しています。
軍用地料の総額は1972年に125億円であったものが、2024年には1061億円と52年間で936億円(約8.5倍)増加しています。このように、日本復帰以降、借地料は上がり続けています。
借地料は国により各施設・地目や地域別に㎡単価が決められており、㎡単価×土地面積=年間借地料で算出されます。毎年夏(7~8月)に年間借地料が支払われ、年に一度、㎡単価の見直しがあります。
ここ数年の軍用地全体の値上がり率は前年比1%程度となっています。
「軍用地」の返還計画
国は沖縄の基地負担を低減するため、抑止力を維持しながら、嘉手納基地以南の返還を進める方針です。本土復帰直前と(1971年)と比べると実に48%減少しています。軍用地料の総額が増加している中で、軍用地の面積が減少しているということは、逆に軍用地の資産(希少)価値は上昇しているということの証です。
「軍用地投資」のリスクとリターンの関係
軍用地投資は安全保障条約上、日本政府が米軍に基地を提供する義務を負っているため、土地の賃貸借契約を結んで地主に使用料として地料を支払う仕組みによって成り立っています。地主は地料の滞納や土地の管理に悩む必要はありません。
また、この地料は、土地連と政府との交渉により毎年上がることになっているので、軍用地を所有している限り、半永久的に地料が複利的に増えていきます。長く保有すればするほど、黙っていても平均利回りが上がっていくのが軍用地投資です。
軍用地投資は長期運用を前提とすれば、ほぼ確実に「ローリスク」で「ミドルリターン」を得られる投資法です。
「ローリスク」である分、リターンも販売価格に対する地料の利回りが2%程度と高くないので、融資の借り入れによる金利上昇リスクを極力抑えなければなりません。それには、まずは現金で軍用地を買うことをおすすめします。安いものでは販売価格500万円台から購入ができます。
株式市場と違って、相場自体は比較的安定し、市場流動性が高く換金しやすいです。つまり、軍用地投資の最大のメリットは、「安全性」といえるでしょう。
軍用地の売買価格の決定と取引方法
軍用地の売買価格は、年間地料×倍率=売買価格となります。「倍率」とは今の販売価格が1年間あたりの地料の何倍なのかを示したものです。
「倍率」は軍用地の取引基準となるもので、国や不動産会社が決めるものではありません。これは、株式市場の変動に似ており、施設や立地、需給バランス等により変動するため、買いたいというお客様の多い施設は倍率が高くなります。
一般的な土地の場合、公示価格等をベースに様々な観点から鑑定(査定)評価を行い、それらを基に坪単価が算出され売買されます。
一方、軍用地は土地そのものが米軍基地や自衛隊施設の内側にあり、現地確認しようにもできないため、軍用地売買に際し、「倍率」が一定の「相場」として取引の指標となっています。ただし、これはあくまでも沖縄の軍用地市場の目安であり、実務上はこれを参考に相対取引で売買されています。
実は軍用地は約40弱の施設から構成され、加えて陸・海・空の自衛隊施設もあり、そのすべてに倍率が定められています。 この倍率は、その時の市況によって変化する指数です。
例えば先ほどのキャンプ・キンザーは56~60倍、嘉手納飛行場は52~57倍で売買されています。
また、同じ施設でもその中で地目や立地に基づき細かく倍率が分類されています。
一般的には重要施設ほど高い倍率が示されています。以下は一例ですが、
キャンプ・キンザー
56~60倍±
嘉手納飛行場
52~58倍±
嘉手納弾薬庫
45~52倍±
空自那覇基地
55~58倍±
陸自那覇基地
54~56倍±
普天間飛行場
42~49倍±
キャンプ瑞慶覧
44~49倍±
キャンプ・ハンセン
45~49倍±
(当社調べ、2024年5月現在)
ではこの倍率が何を意味するかと言いますと、この場所の価値を表しており、 年間地料100万円の嘉手納飛行場だと100万×54倍=5400万円となります。
「定期預金」との投資利回りの違い
メガバンクの大口定期預金の金利の推移グラフ
大口定期預金を比較した場合の違い
2024年3月、日銀の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和の柱であった「マイナス金利政策」の解除を受け、2017年振りの利上げが決定され、我が国の金融機関の大口預金は2024年4月より大口定期預金の金利が年0.002%→0.025%へ引上げられました。
預金金利は引き上げられたものの、依然として低水準が続いており、1,000万円の大口定期預金を1年間銀行に預けたとしても、税引き後の預金金利は2,000円に留まり、10年合計収入は20,000円です。
参考までに。メガバンクの大口定期預金の金利の推移はグラフをご参照下さい。 依然として0.1%以下の低金利時代が続いている状況です。
一方で軍用地投資を1,000万円行った場合と大口定期預金を比較した場合の違いを試算したのが図の通りです。
これは倍率55倍で「空自・那覇基地」を購入した事例ですが、年間借地料が毎年前年比1・0%上昇したと想定した場合、10年後の表面利回り1.99%、 10年合計収入は1,736,567円となり、実に86倍の差になる計算です。
「一般不動産投資と軍用地投資」の違い
一般不動産投資の場合、コストとしては、固定資産税の他、定期的な修繕管理費、経年による大規模修繕がかかります。軍用地の場合、固定資産税の評価が低く、修繕管理費は0円です。
収益に関しては、一般的不動産投資の場合、表面利回り3%~5%ですが、空室リスクや家賃の下落や滞納リスクがあります。軍用地に関しては、表面利回りは2%前後ですが、年間借地複利で毎年約1%増、国(日本)が借主であるため滞納はありません。
その他について、一般不動産の場合、自然災害による建物被害、金利上昇など借入条件の変更、相続時(負)動産になるおそれが懸念されます。一方で、軍用地の場合、借主は国であるため、リスクなしです。また、地主会の会員になることで「地主会共済融資制度」というフリーローンを(限度額3500万円)利用することができます。
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